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B.MAGAZINE編集長・菜波の「教えて!」SOCIAL INNOVATION HUB編

B.LEAGUEは世界2位のリーグを目指すため、ビジネス面においても改革を進めています。その1つが“日本を、世界を、たぎらせる”をテーマにした「SOCIAL INNOVATION HUB(ソーシャルイノベーションハブ)」というものです。この取り組みについて、B.MAGAZINE編集長の菜波が担当者の菅原瑠美にお話を聞きました。

今回の登場人物

【(C)B.LEAGUE】

菅原瑠美
バスケットボール・コーポレーション株式会社
2016年入社。グッズ担当やスポンサーシップ営業の担当を経て、現在は新規事業を企画する事業企画部のシニアマネージャー。

ソーシャルイノベーションハブって何?

菜波 ソーシャルイノベーションハブについて教えてください。

菅原 B.LEAGUEが掲げている改革は大きく2種類ありまして、1つは「B.革新」という2026年に向けた一連の構造改革です。これはどちらかというと競技面、制度面の改革という位置づけです。一方、B.LEAGUEが進化していく中で、ビジネス面における新たなコンセプトとして開発したのがソーシャルイノベーションハブです。

菜波 どういった経緯でスタートしたのですか?

菅原 アメリカのスポーツビジネスでは莫大な放映権料が収益の柱となりますが、日本の環境で同じやり方は難しいと感じています。日本では広告価値や露出効果を期待したパートナーシップが通常の形ですが、徐々にパートナーさまの課題解決や、B.LEAGUEを使った社会変革という形を目指す流れになってきています。その流れの中で、どうすればB.LEAGUEが人々に必要とされ、お金や志をともにする仲間が集まるのかを考えた時、ソーシャルインパクトを創出するスポーツリーグであるべきだろうという観点からスタートしました。

菜波 ソーシャルイノベーションハブではどのような活動をされているのですか?

菅原 「様々なコミュニティを活性化させていこう」というのがソーシャルイノベーションハブの基本的な考え方で、5つのコミュニティを設定しています。ファンコミュニティ、競技者や審判、TOも含めたバスケファミリーのコミュニティ、地域創生のコミュニティ、グローバルバスケのコミュニティ、ビジネス人材活性化のコミュニティの5つです。ファンの皆さんの目に一番触れやすいのはファンコミュニティだと思います。

実際にどのようなことをやっているの?

【(C)B.LEAGUE】

菜波 どのようなことがファンコミュニティに含まれているのですか?

菅原 例えば、試合配信はその1つです。ソフトバンクさまと一緒にやらせていただいているバスケットLIVEの配信では、ただ試合を視聴するのではなく、応援機能を使いながら楽しむことができます。アリーナにいるファンだけではなく、配信で見ている方に新たな観戦体験を提供するという意味で、ファンコミュニティ活性化につながると思います。

菜波 今はB.LEAGUEの人気が高まってきて、観戦チケットもなかなか取れないんですよね。バスケットLIVEがあるおかげで私は生きているといっても過言ではないです(笑)。

菅原 ありがとうございます(笑)。ほかにもグローバルのコミュニティでは、オールスターゲームの「B.LEAGUE ASIA RISING STAR GAME」に合わせて、インバウンドのツアーを組み、フィリピンのバスケットボールファンに試合を観戦していただいたり、選手とのイベントを実施したりしました。

菜波 私は英会話をやっているのですが、フィリピンの先生が多いです。話をしているとB.LEAGUEや選手のことを知っている先生が結構いて、なんで知っているのだろうと思っていました。もしかしたらそういった取り組みを通じて、B.LEAGUEを知ってくれているかもしれないですね。

菅原 フィリピンとは日本とインドネシアと一緒に「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」を共催しましたし、フィリピンにおけるバスケットボールは国技とも言われるほど人気です。そこのトップ選手が日本でプレーしているとなると、自ずとB.LEAGUEも注目していただいているのかなと思います。実際に、オールスターの前に現地でイベントを実施したこともあります。

菜波 現地でイベント、すごい!

菅原 2023年10月にフィリピンの三越でイベントをさせてもらいました。また、クラブも観光と合わせてインバウンドのファンを呼ぶ施策を行っています。例えば広島ドラゴンフライズはインバウンドツアーを企画して、フィリピンのお客さんがお好み焼き食べる、ということをやっていました。

菜波 えー、知らなかった! 見えないところでいろいろなことが行われているんですね。

菅原 そうなんですよ。

どのようなパートナーさまとタッグを組んでいる?

【(C)B.LEAGUE】

菜波 今までの取り組みで一番印象的だった出来事はありますか?

菅原 このソーシャルイノベーションハブは、2023年10月に打ち出したばかりなんです。まだ仲間集めをしている最中ではありますが、発表後からこの考え方に共感してくれるパートナーさまも出てきました。例えば、ビジネス人材のコミュニティでは選手のキャリアを考えていく方針があるのですが、それに共感いただいたパートナーさまと話し合いを進めているところです。新しくパートナーさまが決まると、一歩前進したという実感はありますね。

菜波 パートナーさまあっての取り組みっていうことですよね。

菅原 自分たちでやっていくことになったとしたら、やはり足りない部分が出てくると思います。高い質を提供するためには、外部の力は欠かせないと考えています。志をともにしながら、一緒に走ってくれるパートナーさまの存在は貴重だと思います。

菜波 今はどのようなパートナーさまと一緒にやっているのか聞いてもいいですか?

菅原 はい、先ほどの例ではアーシャルデザインさんという、アスリートのキャリアに関するビジネスをしている会社です。2023年12月から新たにパートナーとなっていただきました。これまでお世話になっているパートナーさまも、ソーシャルイノベーションハブとして私たちのコンセプトが明確になったことにより、B.LEAGUEと一緒に取り組みたい施策が見えやすくなったというお声はいただいています。

菜波 実際に企業がB.LEAGUEのソーシャルイノベーションハブに興味を持ったら、どのようにして話が展開していくのですか?

菅原 会社の規模は関係なく、まずはご連絡いただければうれしいです。B.LEAGUEを通じて一緒に社会課題を解決するという方向性にそって、一緒に歩めるご提案をさせていただきます。先ほど挙げた5つのコミュニティと、解決したい課題が近しいものであれば、前向きに取り組みができると思います。

どのような世界を作っていきたい?

【(C)B.LEAGUE】

菜波 ソーシャルイノベーションハブでやっていきたいこと、目標はありますか?

菅原 究極的には“社会のスポーツのあり方自体を変えていく”のが目標です。先ほどの通りスポーツに仲間が集まる主な理由が広告に寄っているが日本の現状です。海外では社会的価値や一緒に社会課題を解決していくためにスポーツと手を組むという意識がすごく強いです。B.LEAGUEがソーシャルイノベーションハブというコンセプトを掲げ、事例を多く作っていくことで、仲間として参画してくださる企業やメディア、そして日本社会におけるスポーツのあり方までも変えていきたいというのが究極の目標です。

菜波 B.LEAGUEが社会のあり方を変える……。

菅原 例えばファンコミュニティでは、B.LEAGUEのアウェー試合に観戦に行って、それに合わせて観光をするのが通常の流れだと思いますが、その逆を作っていきたいです。観光でその土地に来た方が、B.LEAGUEの試合もやっているから行ってみようと。観光の選択肢にB.LEAGUEが入っていくような世界を作りたいと思っています。

菜波 「B.革新」の一環で新しいアリーナが大きなショッピングエリアの近くにできたり、ホテルが併設されていたりしていますよね。観光の選択肢になる日もそう遠くないのかなと思いました。

菅原 そうですね。まさにおっしゃるとおりです。アリーナができると、街の中心になると思うので、試合で満員になり、試合後もアリーナの周辺が人であふれるような世界を作れればなと思います。

菜波 すごく楽しみです。取り組みを通じて、「こういう社会になったらいいな」という夢はありますか?

菅原 まずは世界第2位のリーグを目指すということ。オールスター1つをとっても、NBAは街を挙げてのお祭り、イベントになっているので、そういった世界観を早く作るのが目標ですね。

菜波 いいですね。すごく夢が膨らみます。

菅原 それがどのクラブのホームゲームでも見られるといいなと思います。例えば「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」で実現した景色が、日本のいろいろなアリーナで見られるのが目指す世界だと思います。

菜波 ありがとうございます。話を聞いていてワクワクしました。

菅原 頑張ります! 逆に菜波さんが「こんなのがあったらいいな」と思うものはありますか?

菜波 グッズ、ファッションの部分は楽しみにしたいです。NBAは普段使いできるジャケットやおしゃれなアイテムが多いイメージで、B.LEAGUEでもそういう流れができるといいなと思います。「何それ、よくわからないけどカッコいいね」みたいな。

菅原 ファンコミュニティを盛り上げるツールとして、グッズの必要性はあると思います。バスケットボールはストリート文化との親和性が高いですからね。

菜波 NBAだと試合観戦に行くファッションがなんとなくイメージできるけど、B.LEAGUEはまだチームのユニフォームくらいで、おしゃれに観戦しに行くスタイルはまだ確立されていないなと感じます。私自身もおしゃれなB.LEAGUEファッションを発信していけたらいいなと思いました。

菅原 コミュニティを活性化するのは、そういうことだと思っています。おしゃれ好きな女子がB.LEAGUEをきっかけに集まるコミュニティを作る、そしてそれを活性化する。それはもうソーシャルイノベーションハブです。もう完璧に理解されていますね。

菜波 本当ですか? やった、ありがとうございます!

B.MAGAZINE編集長 菜波|プロフィール
1998年9月10日生まれ。日本とイランのハーフ。東京都出身。 中高6年間バスケットボール部に所属。学生時代にSNSへ投稿したバスケットボールのドリブル動画が女性ファッション誌「CanCam」編集長の目に留まり、専属モデルに抜擢され、「SNS発の専属モデル」となった。 乳酸菌ソムリエやヨーグルトソムリエ、フードスペシャリストの資格を持つ。