B.MAGAZINE編集長・菜波の「教えて!」MD編
B.MAGAZINE編集長の菜波がB.LEAGUEのグッズ全般の業務を担当しているMD(マーチャンダイジング)グループの佐久間、乙女に、グッズの企画から販売、サブライセンスに関することまでお話を聞きました。
本日の登場人物
MDグループの役割は?
菜波 お2人は日々、どのような業務をされているのですか?
佐久間 公式グッズの企画や販売、デジタルカードコレクション「B.LEAGUE CARD」の運用管理、サブライセンス監修など、B.LEAGUEにおけるMD領域のグループマネージャーを担当しています。
乙女 私は主にサブライセンス監修を担当しています。メーカーさんなどに商品化権をお預けして、私たちが管理するB.LEAGUEのプロパティを用いたグッズ制作や監修、管理をしています。加えてオリジナルの商品企画も進めていて、「モテ男No.1決定戦」、「B.LEAGUE MASCOT OF THE YEAR」に関連したグッズを企画・制作・販売し、収益化することにも取り組んでいます。
菜波 最近は特にバスケットボールの熱が高まってきていますし、グッズの売上も好調だと思います。
佐久間 「FIBA バスケットボール ワールドカップ 2023」や映画『THE FIRST SLAM DUNK』の盛り上がりもあり、多くのお客様にアリーナに来ていただけており、リーグ・クラブ物販の売上も伸びているんです。
乙女 バスケットボールに興味を持ったお客さんが増えているので、そういった方に対して面白いアプローチをしていきたいですね。
菜波 どのようなグッズが人気なんですか?
佐久間:各クラブにおいては、やはりユニフォームやタオルが人気です。ベースボールシャツのように羽織れるものや、着こなしパターンに幅がある商品も人気だとクラブの担当者からは聞いております。
どのようなグッズを出している?
菜波 B.LEAGUE主体で販売しているグッズには、どういったものがありますか?
佐久間 クラブを横断する企画はB.LEAGUEとしての取り組みの一つです。例を挙げると、各クラブのモバイルバッテリーです。我々で企画して商品を作り、各クラブにも確認いただきながら商品化していきました。
乙女 B1、B2で承諾を得た全クラブのデザインが必要ですし、それぞれにデザインの確認を得ないといけないので、販売まで半年近くを要した企画でした。各クラブがそれぞれのカラー、配色、要素の配置にこだわりを持っているので、デザインに関する出し戻しは多く発生しましたが、その分良い商品になったと思います。
菜波 バレンタイン企画も実施されたようですね。
乙女 モテ男のグッズですね。1位になった金近廉(千葉ジェッツ)選手にオフィスに来ていただいて写真撮影をして、それを使ったアクリルスタンドやブロマイドを準備しています。ホワイトデーに合わせて発表し、3月31日まで受注していますよ。
菜波 商品化までの過程で大変だったことはありますか?
乙女 MDグループが主導してビジュアル撮影をすることも初めてでしたし、私自身が1対1でクラブと向き合うことも初めてでした。やったことのない企画なので、段取りから大変でした。スタイリストさんも苦労したと思います。金近選手は身長が高いから、なかなか服が見つからなくて。1位が決定してから撮影まで時間がない中で、スタイリストさんがいろいろなブランドに掛け合って服を探してくれました。私よりもスタイリストさんが大変だったと思います(笑)。
菜波 モテ男グッズの中でイチオシ商品を挙げるなら?
乙女 1つ挙げるなら、金近選手が載っている『<モテ男No.1>応援!のぼり』ですね。なぜそれを作ろうと思ったかと言うと、オールスターゲームで沖縄アリーナに行った時、ファンの皆さんが客席の前の手すりにタオルなどを掛けていたんですよね。それでもっと大きく、選手の顔が目立つものを作ったら面白いのではないかなと思いまして。
様々な企業を巻き込んだ企画も
菜波 『B.LEAGUEチップス』が発売されると聞きました。これは実際のカードが入っているのですか?
佐久間 デジタルカード「B.LEAGUE CARD」が付属しています。『B.LEAGUEチップス』のオリジナルカードになるので、これを買わないともらえないカードになります。
菜波 どういった仕組みでカードをもらえるのですか?
乙女 袋の中にQRコードとシリアルコードが印字されていて、それをスマートフォンで読み取って入力すると、カードを受け取れる内容になっています。カードから離れますが、何個か買うとサイン入りボールが当たるキャンペーンもやっているので、ぜひ手にとっていただきたいです。
菜波 どういった経緯でこの取り組みが始まったのですか?
佐久間 ひざつき製菓さんから商品化のご提案をいただきました。有難いことにワールドカップ後はいろいろな企業様からお声掛けいただく機会が多く、ひざつき製菓さんもその一つでした。
菜波 カード付きのウエハースも販売していますよね?
佐久間 『B.LEAGUE ツインウエハース』のことですね。こちらもバンダイさんから「こういうのを作りたい」とお声掛けをいただいた案件です。バンダイさんは島根スサノオマジックのパートナーでもあり、先行してツインウエハースの販売をされていて、ものすごく好評だったと聞きました。それもあって、B.LEAGUEとしても出したいと声を掛けていただきました。
菜波 カード化する選手はB.LEAGUEで決めているのですか?
乙女 バンダイさんに決めてもらったものを我々も確認しています。第1弾なので、各クラブを代表するような選手2名を選出しました。バンダイさんの担当者がバスケットボールファンなんですよ。
佐久間 B.LEAGUEやバスケットボールに対する熱い思いを持っていただいている担当者がいて、そういった方から「一緒にやりたいです」とご提案、お声掛けをいただくことが多いです。そういった思いがないと、実現できずに終わってしまうこともありました。
乙女 そうですね。今も一緒に取り組んでいるのは、熱量のある担当者の方がほとんどです。
佐久間 こういったバンダイさん、ひざつき製菓さんとの企画もそうですが、今後もリーグとして中央の立場からクラブを横断して商品展開していけたらと思います。このような取り組みはリーグならではの強みだと考えております。
これから仕掛けていきたいことは?
菜波 今後取り組んでいきたいこと、挑戦したいことはありますか?
乙女 B.LEAGUEには「モテ男No.1決定戦」「B.LEAGUE MASCOT OF THE YEAR」「B.LEAGUE AWARD SHOW」など、いろいろなコンテンツがありますが、コンテンツにあわせた積極的なグッズ展開ができていないという状況がありました。今後はグッズを作って収益化したいというのと、話題性のある商品を開発していきたいです。新規のファンの方に向けて「面白いことやっているじゃん」と感じてもらえるようなアプローチをしていきたいです。
菜波 新しくファンになる人にとって、グッズも入口の一つですよね。
乙女 現状だと“推し活”に近い方が多いんです。比江島慎(宇都宮ブレックス)選手が好き、河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)選手が好き、と特定の選手を応援している傾向があります。20代後半から30代ぐらいの若い女性も多いという印象です。一生懸命に推し活をしている層にアプローチできるようなものを意識しています。
佐久間 モテ男No.1決定戦の企画はまさしくその一例ですよね。バスケットボールのファンはもちろん、バスケットボールをまだ知らないけど、ワールドカップやスラムダンクで興味を持った人に、選手の力を使って再アプローチできるような取り組みになっていると思います。
菜波 今後はシーズン終盤に向けてB.LEAGUEが前面に出るイベントも増えていきます。
佐久間 「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24」が5月終盤にあって、その後に「B.LEAGUE AWARD SHOW 2023-24」も控えています。それらはB.LEAGUE主管のイベントなので、ファンの皆さんに喜んでもらえるようなグッズを販売したいと考えています。その先は2026-27シーズンのB.革新を控え、リーグの制度設計が変わるので、そこに向けてリーグのMDとしてあるべき姿を考えていきます。各クラブの売上を伸ばしていくサポートや、「B.LEAGUE CARD」もさらに拡張していけるように、今後も継続して取り組んでいきたいと思います。
菜波 B.革新に向けて、MDグループとしての展望を教えてください。
佐久間 B.革新でロゴが変わるんです。B.LEAGUE PREMIER、B.LEAGUE ONE、B.LEAGUE NEXTとロゴが一新されるので、プロモーションも兼ねて、B.LEAGUEが日常に溶け込むような商品を出せるよう準備していきたいです。あとはファンの皆さんに喜んでもらえるグッズをクラブと連携して作っていきたいと思います。
菜波 個人的にファンを巻き込んだ企画を見てみたいと思いました。
乙女 面白いですね。実際に、皆さんの本当に欲しいものが何かわからないので。
佐久間 たしかに。そこまでできていなかったので、これから検討していきたいですね。
乙女 各クラブのファンの方をお呼びして、何が欲しいかMD大会議を開くとか。収拾がつかなくなるかもしれませんけどね(笑)。
B.MAGAZINE編集長 菜波|プロフィール
1998年9月10日生まれ。日本とイランのハーフ。東京都出身。 中高6年間バスケットボール部に所属。学生時代にSNSへ投稿したバスケットボールのドリブル動画が女性ファッション誌「CanCam」編集長の目に留まり、専属モデルに抜擢され、「SNS発の専属モデル」となった。 乳酸菌ソムリエやヨーグルトソムリエ、フードスペシャリストの資格を持つ。